政府の動き

2026年度予算の概算要求基準:物価高対策などのため裁量的経費2割増

ポイント
・歳出全般にわたり、施策の優先順位を洗い直し、予算の中身を重点化
・物価高対策を含む重要政策推進のため裁量的経費2割増額要望可
・社会保障費4,000億円増、経済・物価動向等も予算編成過程で反映

2026年度予算の概算要求基準の概要

政府は8月8日、2026年度予算の概算要求基準(いわゆる「シーリング」)を閣議了解した。2026年度予算は、「経済財政運営と改革の基本方針2025」(骨太方針2025)等に基づき、歳出の優先順位を洗い直し、予算の中身を大胆に重点化する。また、賃金や調達価格の上昇を踏まえた要求を促すとともに、予算編成過程では、物価上昇に合わせた公的制度の点検・見直しを行い、経済・物価動向等を適切に反映するとした。

2025年度との最大の変更点は「裁量的経費」の扱い。各府省庁は前年度当初予算相当額の範囲で要求した上で、物価高対策など重要政策を推進するため、その額の20%までを増額要望できる。前年までの概算要求では裁量的経費の10%削減を求める一方、重要政策課題に対応する等のため、削減分の3倍の額の増額を認める「重要政策推進枠」を設けていた。2026年度は経費の削減前提の枠組みを廃止した格好だ。

社会保障関係費では、年金・医療等について、前年度当初予算額に自然増4,000億円を加算した範囲での要求とし、予算編成過程において経済・物価動向等を踏まえた増加分を加算するとした。年金・医療等の経費に関しては、前年は合理化・効率化に最大限取り組むことが明記されていたが、本年は骨太方針2025に基づき、医療・介護等の現場の厳しい現状等を踏まえて的確な対応を行うとされ、方針に差が出た。

義務的経費の扱いも調整した。同経費のうち人件費は人事院勧告を踏まえ予算編成過程で対応し、その他の義務的経費は経費ごとの義務的性格に応じ所要額を要求するとした。前年は義務的経費について、その前年度当初予算の額の範囲で要求し、削減した場合には同額を裁量的経費での要求に振り向け可能としていた。

防衛力整備計画対象経費の所要額、地方交付税交付金等について「経済・財政新生計画」との整合制に留意しつつ要求する点は継続。GX(グリーン・トランスフォーメーション)、AI・半導体については特別会計において要求することが明記された。

予算編成過程での検討事項には、高校授業料無償化、給食無償化、0~2歳を含む幼児教育・保育の支援を掲げた。また、物価高対策を含む重要政策等については、事項要求も含め適切に要求し、予算編成過程で検討するとした。さらに、真に必要な財政需要に対応するため、制度改革により恒久的な歳入増を確保する場合、歳出改革の取り組みに当たって、その取り扱いについては予算編成過程において検討すると明記。必要な財政需要に対応しつつも、歳出改革努力を継続する姿勢を示した。

各府省庁の要求期限は8月末日厳守。今後、2026年度予算編成に向けた動きが本格化する。

関連リンク

令和8年度予算の概算要求について(令和7年8月8日閣議了解) – 財務省
加藤財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要(令和7年8月8日) – 財務省
令和7年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針について(令和6年7月29日閣議了解) – 財務省

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