国会の動き

石破首相「すべての人に安心と安全を」、初の所信表明演説

石破首相は4日、衆参両院の本会議で所信表明演説を行い、「すべての人に安心と安全を」というスローガンの下、政治資金問題で失われた信頼回復や地方創生など5つの柱を掲げ、日本の未来を守る決意を示しました。

冒頭で石破首相は、政治資金問題により国民の政治不信を招いたことを深く反省し、「政治家のための政治ではない、国民のための政治」を実現し、安心安全で豊かな日本を再構築するための全力を尽くすと強調しました。

以下、演説の各項目を簡単にまとめました。
※首相官邸に掲載されいてる所信表明演説全文へのリンクは一番下にあります

1.はじめに

石破首相は、第102代内閣総理大臣に就任したことを報告し、「すべての人に安心と安全を」提供する決意を表明。政治資金問題で失われた国民の信頼を取り戻し、岸田前首相の実績を引き継ぎ、「ルールを守る」「日本を守る」「国民を守る」「地方を守る」「若者・女性の機会を守る」の5つの柱で日本の未来を創ると述べました。

2.ルールを守る

首相は「政治家のための政治ではなく、国民のための政治」を実現するため、政治資金問題に取り組むと強調。議員一人ひとりと向き合い、倫理観の確立と法の遵守、透明性の向上を図り、国民の信頼回復に努めると約束しました。

3.日本を守る

激変する安全保障環境を背景に、日本の防衛と平和維持を最優先に掲げました。ロシアのウクライナ侵略を踏まえ、日本周辺の不安を取り除くため、日米同盟を基軸とした現実的な外交を推進。中国の力による現状変更への対抗、北朝鮮の拉致問題の解決、日韓関係の強化などに取り組む姿勢を示しました。また、日米同盟の抑止力強化や同志国との連携強化を図り、「自由で開かれたインド太平洋」の実現を目指すとしています。防衛力の強化においては、自衛官の処遇改善に向けて具体的な取り組みを進めるとともに、沖縄の基地負担軽減や振興策にも言及しました。少子化対策や経済・財政の安定化を通じ、国民生活の充実を図ることも重要視しています。

4.国民を守る

首相は、国民生活を守るための物価対策と賃上げの実現を強調しました。物価上昇を上回る賃金上昇を定着させ、国民が安心して消費できる経済環境を整備する方針です。最低賃金の引き上げやリスキリングへの投資、デジタル環境の整備を通じて、成長と分配の好循環を確立する考えも表明。また、エネルギーの安定供給を喫緊の課題とし脱炭素化とエネルギー自給率の向上を目指す、イノベーションとスタートアップ支援を強化し、経済成長を促進するための「投資大国」の実現に向けた政策も推進すると述べました。社会保障制度の見直しにより、多様な人生を選択できる柔軟な制度設計を行い、誰もが能力を最大限生かせる社会を目指すとしています。

5.地方を守る

石破首相は地方創生の原点に立ち返り、「地方こそ成長の主役」と強調し、これまでの成果と反省を活かし「地方創生2.0」として再起動することを表明しました。地方創生の交付金を倍増し、デジタル技術の活用やインバウンドの効果的な活用を視野に入れ、地域の活性化に取り組みます。農林水産業の発展や食料安全保障の確保に向けた新たな基本法の下、農山漁村の振興を図るとともに、地域交通や観光産業の高付加価値化にも力を入れます。また、持続可能な食品産業への転換や、地域社会の構築に向けた人材育成を進める方針です。さらに、2025年の大阪・関西万博を日本の魅力を世界に発信する機会として成功に導く意向も示しました。

6.若者・女性の機会を守る

若者と女性の幸せと権利を守るための施策を強化。教育改革を通じて、自ら考え人生を設計できる能力の育成を目指し、公教育の再生に全力を挙げるとしました。女性の社会参画を推進し、意思決定の場への女性の参加や男女間の賃金格差是正に取り組むことを表明。また、自殺対策を強力に進める方針を示しました。

7.おわりに

首相は、憲法改正の実現に向けた国民的議論を期待し、皇位継承の安定も喫緊の課題と述べました。政治への信頼を取り戻すため、勇気と真心をもって真実を語り、国民の納得と共感を得る政治を実践する決意を表明。かつての思いやりある社会を取り戻し、全ての国民に笑顔を取り戻したいと訴え、国民と国会議員の理解と協力を呼びかけました。

関連リンク

第二百十四回国会における石破内閣総理大臣所信表明演説 – 演説の全文。首相官邸
第214回国会 国務大臣の演説(石破内閣総理大臣の所信表明演説) – 衆議院
石破内閣総理大臣の所信表明演説 – 参議院

石破新内閣が発足、首相が記者会見前のページ

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